糖類ゼロ=糖質ゼロではない?血糖値への影響と違いを管理栄養士が解説

糖類0と糖質0表示の食品を手にして困っている女性の姿 糖質

はじめに

糖類0と糖質0と表示ある色々な食品を並んでいる。キャンディーやドリンクなど

「糖類ゼロだから安心」と思って、糖類ゼロと表示のある商品をつい選んでいませんか?

以前、栄養相談でこんな出来事がありました。
75歳女性の患者さんが、「ノンシュガーで糖類ゼロの飴だから大丈夫と思って、毎日5〜6個なめています」とおっしゃっていました。念のため栄養成分表示を一緒に確認してみると、なんとその飴には甘味料として水飴が使われていました。糖質量は普通の飴とほとんど変わらず、1個当たり約4gの糖質が含まれていたのです。毎日5個食べたとしても、合計で20gの糖質を摂取していたことになります。
その方は2ヶ月連続でHbA1cが上昇しており、もしかしたらその飴が原因のひとつだったかもしれません。

「ノンシュガー」や「糖類ゼロ」という表示に安心して食べていたら、気づかないうちに血糖値が上がっていた…というケースは、実は珍しくありません。
では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
その背景には、「糖類」と「糖質」の違いがあります。
この記事では、「炭水化物・糖質・糖類」の違いと血糖値との関係を解説していきます。
食品表示を正しく読めるようになると、日々の食品選びが変わりますよ。

実は知らない人がほとんど 「糖質」と「糖類」の違い

「糖類ゼロなのに、なぜ血糖値が上がるの?」
この疑問を解くポイントは、炭水化物・糖質・糖類の違いにあります。
まずは、この3つの関係を整理してみましょう。

炭水化物・糖質・糖類の関係

炭水化物は大きく2つに分かれており、さらに糖質の中にはこんな種類があります。

  • 炭水化物=糖質+食物繊維
  • 糖質=糖類+それ以外の糖質(でんぷん・オリゴ糖など)

【それぞれの違い】

  • 炭水化物→ 食物繊維も含めた、糖に関する成分の“総称”
  • 糖質炭水化物から食物繊維を除いたもの(血糖値に影響する部分)
  • 糖類糖質の中でも、分子が小さく吸収が早い糖(ブドウ糖・果糖・砂糖など)

糖類は、糖質の一部にすぎません。
つまり、「糖類ゼロ」でも「糖質が含まれていることは普通にある」ということです。
例えば「糖類ゼロ」と書かれている食品でも、「でんぷん」や「オリゴ糖」、「その他の糖質」が含まれていれば、血糖値に影響する可能性があります。

このように、「糖類」と「糖質」を同じものだと思っていると、“糖類ゼロなら血糖値は上がらない”と勘違いしてしまいがちです。
しかし、血糖値に影響するのは糖類だけではありません。
この誤解が次にお話しする「糖類ゼロの落とし穴」につながってきます。

糖類ゼロでも血糖値が上がる理由

「糖類ゼロ」は「糖質ゼロ」ではありません。
食品表示のルールでは、糖類が100gあたり0.5g未満であれば「糖類ゼロ」と表示することができます。
つまり「糖類ゼロ」とは、砂糖やブドウ糖などの糖類がほぼ含まれていないというだけで、でんぷんや糖アルコールなどの糖質は含まれている場合があります。
糖類ゼロ食品によく使われる甘味料には、甘みをつけるために以下のものがよく使われています。

成分糖類糖質血糖値への影響
水飴(デキストリン主体)ゼロあり上がりやすい
糖アルコール(マルチトールなど)ゼロありやや上がる
オリゴ糖ゼロあり比較的緩やか
人工甘味料(ステビアなど)ゼロなしほぼ上がらない

冒頭でご紹介した患者さんの飴も原材料に水飴(デキストリン主体)が使われており、糖類はゼロでも糖質量は普通の飴とほぼ変わらないものでした。「糖類ゼロだから安心」と毎日5〜6粒食べ続けた結果、2ヶ月連続でヘモグロビンA1cが上昇してしまったのです。

ここで誤解してほしくないのですが、「糖類ゼロ」という表示自体は嘘ではありません。表示のルール上、正しい表示です。
ただ、「糖類ゼロ=血糖値に安全」ではないということを知っておくことがとても大切です。血糖値を気にしている方ほど「糖類ゼロ」の表示を信じて安心して食べてしまいがちです。製品側も表示ルールの範囲内で表示しているに過ぎず、消費者側がこの違いを正しく知っておく必要があるのです。
では、何を見れば正しく判断できるのでしょうか?
次に、血糖値を意識する方が押さえておきたい食品表示の正しい読み方を見ていきましょう。

「糖類ゼロ」に騙されないための食品表示の見方

見るべきは「糖質」の欄

商品を手に取ったときに、ぜひ習慣にしてほしいことがあります。
それは、栄養成分表示を確認する際に「糖類」ではなく「糖質」の欄を見ることです。
「糖類ゼロ」と書かれていても、血糖値への影響を左右するのはあくまで“糖質全体”になります。
だからこそ、見るべきポイントを間違えないことがとても大切です。

栄養成分表示の見方

食品のパッケージ裏に記載されている栄養成分表示は、以下のような順番で表示されています。

エネルギー → たんぱく質 → 脂質 → 炭水化物 → 食塩相当量

栄養成分表示

ここで注目したいのが「炭水化物」の欄になります。さらに詳しく表示されている場合は、炭水化物の内訳として次のように分かれています。

炭水化物
 -糖質
  -糖類
 -食物繊維

この中で、血糖値への影響を考えるときに確認すべきなのが「糖質」の数値です。

「糖質」が表示されていない場合は?

実は、食品表示で「糖質」の内訳表示は義務ではなくメーカーの任意表示になります。
そのため、商品によっては「糖質」の欄がないこともあります。
そんなときは、次の計算でだいたいの糖質量を出すことができます。

糖質 = 炭水化物 − 食物繊維

この式を覚えておくだけで、どんな食品でもおおよその糖質量を把握することができます。

1回あたりの量に注意

もうひとつ気をつけてほしいのが、「1回あたりの量」です。
栄養成分表示は「100gあたり」または「1食あたり」で記載されていることが多く、実際に食べる量とズレることがあります。
女性患者さんの飴のように1粒あたりの糖質は少なくても、何粒も食べればその分だけ糖質は積み重なっていきます。

1個あたりと100gあたりの栄養表示
Screenshot

食品を選ぶときは表示されている数値だけでなく、自分が実際に食べる量をイメージしながら確認することが大切です。
このひと手間を習慣にするだけで、「なんとなく安心」から「根拠をもって選ぶ」に変わります。
血糖値を意識する方こそ、ぜひ今日から取り入れてみてください。
(👉 実際の商品選びの実践編として、「低糖質商品を選ぶときに見るべき表示ベスト5」の記事も参考にしてみてくださいね。)

まとめ|「糖類ゼロ」だけで判断しないことが大切

「糖類ゼロ」という表示は間違いではありませんが、血糖値への影響を考えるうえではそれだけで判断するのは不十分です。

大切なのは、
✔ 「糖類」ではなく「糖質」を確認する
✔ 表示されていない場合は自分で計算して糖質量を把握する
✔ 実際に食べる量まで含めて考える

この3つを意識すると、自分に合った商品を自信を持って選べるようになります。
ぜひ、今日から食品表示の見方を少しだけ変えてみてください(^^)/


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■参考文献・出典
・文部科学省「日本食品標準成分表 2020年版(八訂)」
・文部科学省「日本食品標準成分表 増補2023年版」
・厚生労働省日本人の食事摂取基準(2020年版)
https://www.mhlw.go.jp/
・日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」
・厚生労働省 e-ヘルスネット
https://kennet.mhlw.go.jp/

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