Q. お酢が血糖値を下げるのは本当?

液体の入ったカップとまな板に切ったトマト 調味料

A. はい、お酢に含まれる酢酸には、血糖値の上昇をゆるやかにする可能性があると報告されています。本記事では、その仕組みをはじめ、お酢の種類による違いや、摂取量・取り入れるタイミングについて解説します。

はじめに

お酢の研究をしている研究室で。男性2人が作業している

栄養相談で、「最近食前にお酢を飲んでますが、体にいいですか?」という質問をいただきました。

お酢に含まれる酢酸については、食後血糖値の上昇に関係する可能性が報告されていますが、実際にはどのようなお酢を、いつ、どのくらい取り入れるのがよいのでしょうか。

本記事では、研究報告をもとにわかりやすく解説していきます。

酢酸の働き

お酢の主成分は「酢酸(さくさん)」で、私たちが普段使う穀物酢・米酢・りんご酢・黒酢などは酢酸を主成分として含んでいます。この酢酸には、食後血糖値の上昇をゆるやかにする働きがあると報告されています。

食品会社のミツカンの研究によると、健康な女性を対象に「食事とともに15 mLの食酢を摂る」ことで、食後血糖値の推移に違いがみられたとされています。

このようにお酢の摂取と食後血糖値の関係についてはいくつかの研究報告があり、特に食事の直前や食事中に取り入れる方法が注目されています。

なぜ血糖値の上昇が抑えられるの?

① 胃から腸(からだ)への移動をゆっくりにする作用
酢酸を食事と一緒に摂ると、胃の動きが穏やかになり、食べたものが腸へ送られるスピードがゆっくりになります。胃から腸へ落ちるスピードがゆっくりになることで、糖の吸収も比較的緩やかになると考えられます。このような働きが、食後血糖値の変化に影響していると考えられます。

② インスリンの働きをサポートする作用
酢酸を継続的に摂取することで、体のインスリンに対する反応が高まりやすくなるという報告があります。
インスリン感受性が高まると、筋肉や肝臓が血液中の糖を取り込みやすくなり、食後に血液中へ流れ込んだ糖が比較的スムーズに細胞へ運ばれるようになります。その結果、血糖値の上昇がゆるやかになりやすいと考えられています。

③ 炭水化物を分解する酵素の働きに関与する作用
酢酸には、でんぷんを分解する酵素(アミラーゼなど)の働きに影響を与える可能性があるとされます。
酵素の働きが弱まることで、炭水化物が糖へ分解されるスピードがゆるやかになり、小腸での吸収も穏やかになります。その結果として糖が一度に吸収されにくくなり、食後血糖値の急激な上昇を抑える方向に働くと考えられているのです。

このようにいくつかの作用が重なることで、酢酸は食後の血糖値が急上昇しにくい状態づくりに関与していると考えられているのです。

摂取量・タイミングの目安

ではどのくらいの量を、いつ摂ればよいのでしょうか?

多くの研究報告では、大さじ1杯(約15mL)程度のお酢を、食前または食事の最初に取り入れた場合に、血糖値の上昇がゆるやかになる傾向が示されています。

食事を始める直前や、食事の最初にひとくち飲む・料理に取り入れるなど、食前〜食事と一緒のタイミングで取り入れる方法がよく用いられています。

注意点としては、空腹時に強い酸を摂取すると胃への刺激になる場合があることです。
胃腸が弱い方は、無理をせず「食事中に取り入れる」方法を選ぶと安心ですね。

また、歯のエナメル質を守るためにも飲用する場合は水で薄めたり、摂取後にうがいをしたりするなどの工夫を取り入れるとよいでしょう。

どのお酢が一番いいの?

色々な種類のお酢が入った瓶が4本、テーブルの上の置かれている

血糖値への影響はお酢に含まれる「酢酸の量」がポイントになると考えられています。

実は、「穀物酢」「米酢」「りんご酢」「黒酢」などの種類によって、酢酸量そのものに大きな差はないとされており、どのお酢を選んでも、酢酸による作用はおおむね同程度に期待できるとされています。

そのため、基本的には好みや料理に合わせて選んで問題ありません。

ただし、糖質やはちみつが加えられた「飲むお酢」の場合は、かえって糖質摂取量が増えてしまい、血糖値に影響する可能性があります。

血糖値を意識する場合は、甘味のあるお酢飲料ではなく、糖質が添加されていない一般的なお酢を選ぶことが大切です。

お酢はそのまま飲むだけじゃない|お酢活用レシピ

食卓のテーブルの上にお酢を使った料理が6品とご飯が並ぶ風景

実は、お酢に含まれる酢酸は熱に比較的強く、加熱しても大きく分解されにくいと言われています。
そのため、お酢をそのまま飲まなくても調理の中で取り入れることで、食後血糖値の上昇をゆるやかにする働きが期待できます。

お酢を使用した料理例をいくつかご紹介します。

鶏と野菜の黒酢炒め

これはそねまるの大好きな料理です。黒酢のコクがたまらないですよね。加熱しても酢酸の働きが残るので、食事中に自然にお酢を摂りたい時の定番料理です。

ピクルス(温・冷どちらもOK)

加熱しても酢酸は残るので温ピクルスでも問題ありません。パプリカ、ニンジンなどを入れてカラフル野菜で一度に作り置きしておくと便利です。

酢の物(きゅうり酢、わかめ酢、もずく酢)

簡単に作れて食後血糖値を抑える定番の副菜です。

酢味噌和え(ほうれん草、こんにゃく、ほたるいかなど)

味噌が入ることで旨味が一気にアップ。お酢には白味噌が相性◎です。

酸辣湯(サンラータン)や甘酢あんかけスープ

野菜、キノコをたっぷりといれたスープは、体が温まって寒い時期には最高です。

■アジやサバの南蛮漬け

揚げた衣に酢ベースのタレがよく絡むため、食事の中でお酢を取り入れやすい料理です。
さらに、青魚を使えばDHAやEPAといった良質な脂質も同時に摂取できます。

まとめ

お酢を取り入れるタイミングとしては、食前や食事の最初に酢酸を15mLほど摂取した場合に、血糖値の上昇がゆるやかになる傾向が報告されています。

とはいえ、毎回食前にお酢を飲むのは現実的ではありませんし、続けるのが難しいと感じる方も多いでしょう。

そのような場合でも、普段の食事にお酢を取り入れる習慣には多くのメリットがあります。
酢酸は加熱に比較的強く、炒め物・煮物・甘酢あん・黒酢料理など、さまざまな料理に活用しやすいのが特徴です。

継続的にお酢を取り入れることで、インスリンの働きをサポートし、長期的な血糖コントロールにつながる可能性があります。

あなたの食事スタイルに合った方法で、“酢のチカラ”を取り入れてみてはいかがでしょうか(^^)/


■参考文献・出典
・ミツカン公式サイト「酢の力|血糖値への影響」
(https://www.mizkan.co.jp/health/sunochikara/blood-glucose-level/)

・糖尿病ネットワーク
https://dm-net.co.jp/
・厚生労働省 e-ヘルスネット
https://kennet.mhlw.go.jp/
・日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」
・文部科学省「日本食品標準成分表 2020年版(八訂)」

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