Q. 野菜から食べる「ベジファースト」、実は野菜の種類によっては意味がない?【管理栄養士解説】

先にポテトサラダを食べてベジファーストをしようとしている女性の姿 野菜

A. 実はベジファーストは、食べる野菜の種類や食べ方によって効果が薄い場合があります。この記事では血糖値を上げやすい野菜と上げにくい野菜の違いや、本当に効果的なベジファーストのやり方を管理栄養士が詳しく解説していきます。

はじめに

「毎食必ず野菜から食べるようにしています」栄養相談をしていると、こう話してくださる方がとても多いです。
皆さん食べる順番を意識されていて素晴らしい、といつも嬉しく感じてます。

ただ、その後に少し踏み込んで「どんな野菜から食べているんですか’?」と聞いてみると、思わず「えっ」と聞き返してしまうこともあります。
「レンコンのきんぴらやかぼちゃの煮物、ポテトサラダなどの副菜です」と、私に教えてくれたのです。気持ちはとてもよくわかります。
ご飯やパンより先に副菜に手をつけているのだから、正しいはずだと思いますよね。
でも、管理栄養士の立場からお伝えすると、その野菜の選び方では血糖値への効果が出にくい場合があります。

ベジファースト(野菜から食べる食べ方)は、正しく実践すれば食後血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待できる方法です。
しかし、実は「何の野菜を先に食べるか」によって、その効果は大きく変わってきます
毎日の食事をちょっと見直すだけで、より効果的な血糖値ケアにつながりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

そもそもベジファーストはなぜ血糖値に良いの?

これは、野菜に含まれる食物繊維の働きに理由があります。
食物繊維は胃や腸の中で水分を吸収してゲル状になることで、食べ物の消化・吸収のスピードをゆっくりにする性質があります。
食事の最初に食物繊維をとることで、その後に食べるご飯やパン、麺類などの糖質が腸から吸収されるスピードが緩やかになり、食後の血糖値が急上昇しにくくなると考えられています。

また、食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類がありますが、特に血糖値の上昇を緩やかにする働きがあるのは、水に溶けてゲル状になりやすい「水溶性食物繊維」です。
食物繊維が豊富な野菜には、水溶性・不溶性の両方が含まれていることがほとんどです。
そのため、食物繊維の量が多い野菜を選ぶことで、自然と水溶性食物繊維も一緒に摂れると考えて問題ありません。

さらに、食物繊維の多い野菜はよく噛む必要があるため、早食いを防ぎやすいことも血糖上昇を緩やかにする理由の一つです。
つまりベジファーストの効果は、「野菜を先に食べること」そのものよりも「食物繊維を先にとること」が最大のカギになります。

血糖値の上昇を抑えにくい野菜とは?

テーブルの上にかぼちゃ、蓮根、さつまいも、とうもろこし、里芋、じゃがいもが並ぶ

ベジファーストの効果の鍵が「食物繊維」にあるとわかると、見えてくることがあります。
それは糖質が多く食物繊維が少ない野菜を先に食べても、期待する効果は得られにくいということです。

糖質が多い野菜

  • かぼちゃ(野菜の中では糖質が多め)
  • とうもろこし(甘みが強く糖質が多い)
  • じゃがいも(でんぷん質が豊富)
  • さつまいも(糖質が高く血糖値を上げやすい)
  • れんこん(食物繊維はあるが糖質も多め)
  • 里芋(芋類の中では比較的糖質は少ない)

これらは全て「野菜」ではありますが、糖尿病の食事療法で用いられる食品交換表では、いずれも主食と同じグループに分類されています。
主食に近い性質を持つものも多く、最初に食べることで血糖値が上がりやすくなる場合があるのです。

調理によって糖質が増えている副菜に注意

甘めの味付けの副菜(きんぴらごぼうやかぼちゃの煮物など)は、砂糖やみりんが使われることで糖質が増えている場合があります。
「野菜の副菜だから先に」と思って食べていると、かえって血糖値が上がりやすくなることもあるため注意が必要です。

効果が期待できる野菜はどれ?ベジファースト向き野菜の選び

テーブルの上にキャベツ、白菜、ブロッコリー、カリフラワー、ほうれん草、きのこが並ぶ

ベジファーストを効果的に実践するなら、食物繊維が豊富な野菜を意識して選ぶことが大切です。

食物繊維が豊富なおすすめの野菜】

  • ブロッコリー・カリフラワー(食物繊維が多く糖質は少なめ)
  • ほうれん草・小松菜などの青菜(低糖質でビタミンも豊富)
  • キャベツ・白菜(かさがあり、よく噛むことで早食い防止になりやすい)
  • ごぼう(食物繊維が非常に豊富)
  • きのこ類(低糖質・低カロリー・高食物繊維)
  • 海藻類(もずくやめかぶなどは水溶性食物繊維が豊富)

ベジファーストの効果を高めるためには、食事の最初にとる食物繊維の量も大切です。
目安としては先に3〜4g程度の食物繊維をとることで、血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待できます。

ベジファーストの効果を高める「食物繊維3〜4g」の目安量

では具体的にベジファーストで食物繊維を3〜4g摂取するための野菜の量を見ていきましょう。

食品食物繊維量(目安)3〜4gとるための量(目安)現実的なポイント
ブロッコリー約5.1g / 100g約70g小房4〜5個でOK、かなり優秀
ほうれん草約2.8g / 100g約120〜140gおひたし1皿だとやや足りない
小松菜約1.9g / 100g約150〜200g量が必要だがカルシウム豊富
キャベツ約1.8g / 100g約170〜220g千切り山盛りでやっと
白菜約1.3g / 100g約250〜300gかなり量が必要
ごぼう約5.7g / 100g約60〜70g少量でも効率よく摂れる
トマト約1.0g / 100g約300〜400g現実的にこの量は厳しい
きゅうり約1.1g / 100g約300g以上水分多く効率は低い
レタス約1.1g / 100g約300g以上サラダだけでは不足しがち
きのこ類約3〜4g / 100g約100gかなり優秀、かさ増しに最適
めかぶ約3.4g / 100g約100g(1〜2パック)水溶性の食物繊維が豊富

この表を見ていただくとわかるように、食物繊維を3〜4gとるためにはある程度の野菜量をしっかり食べる必要があります。

その中で、意外と多いのが「サラダを先に食べているから大丈夫」と思っている方が多いことです。
そこで特に注意したいのが、レタスだけのサラダです。
レタスは水分が多く、見た目のボリュームに対して食物繊維の量はそれほど多くないのが現実です。
「先にサラダを食べた=ベジファーストができている」と感じやすいものの、実際には食物繊維の摂取量が十分でない場合があるのです。

ベジファーストはどう食べればいい?

食物繊維を3〜4gしっかりとるには、ひとつの野菜に頼るのではなく複数の食材を組み合わせて食べると効率よく摂取できます。

✔ おすすめの組み合わせ5選

② めかぶ+青菜(ほうれん草・小松菜)の和え物
→めかぶのネバネバと葉物の野菜の食感が◎

③ めかぶ+サラダ(キャベツ・きゅうりなど)
→水溶性食物繊維をプラスできる

④ キャベツ+きのこで炒め物
→食物繊維をバランスよくしっかりとれる

⑤ごぼうサラダ+豆類(大豆・枝豆など)
→ 食物繊維だけではなく、タンパク質も一緒に摂れる

まとめ|ベジファーストで効果を出す3つのポイント

ベジファーストを正しく実践するには、次の3つがセットで揃うことが大切です。

①食物繊維が豊富な野菜を選ぶ
糖質が多い野菜や調理で糖質が増えた副菜ではなく、葉物野菜やきのこ、海藻類を意識して選びましょう。

②ある程度の量を食べる
食物繊維の効果を引き出すには量も重要です。少しの野菜量では効果が出にくいため、野菜を複数組み合わせてしっかり食べることを意識してみてください。

③その後にご飯・パン・麺類を食べる
食物繊維を先にとったあと、糖質の多い主食を食べることで、血糖値の上昇が緩やかになりやすくなります。

早速今日から実践してみましょう(^^)/

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■参考文献・出典
・文部科学省「日本食品標準成分表 2020年版(八訂)」
・文部科学省「日本食品標準成分表 増補2023年版」
・厚生労働省日本人の食事摂取基準(2020年版)
https://www.mhlw.go.jp/
・日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」
・厚生労働省 e-ヘルスネット
https://kennet.mhlw.go.jp/

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