食べ過ぎた翌日に体の中で起きること
一時的に体重が増える理由
食べ過ぎた翌日に体重を測ると、「体重が増えていた」という経験はないですか?
たった1日で体に脂肪がついたと不安になりますよね。
しかし、1日食べ過ぎただけで体脂肪が大きく増えることはほとんどありません。
体重が増えて見える主な理由は、次の2つです。
①塩分による水分の増加
外食で味の濃い食事をしたり、食事量が増えると塩分の摂取量も多くなります。塩分を多く摂ると、体は塩分濃度を調整しようとして水分をため込みやすくなります。そのため、むくみや体内の水分量の増加によって体重が一時的に増えることがあります。
②糖質と水分の関係
ごはんやパン、スイーツなどに含まれる糖質は、体内で「グリコーゲン」という形で筋肉や肝臓に蓄えられます。このグリコーゲンは、水分と結びついて体に蓄えられる特徴があります。
そのため、糖質を多く食べた翌日は、グリコーゲンと一緒に水分も増えることで体重が増加することがあります。
このように、食べ過ぎた翌日の体重増加の多くは、体脂肪ではなく水分による一時的な変化です。
数日ほど普段通りの生活に戻せば、自然と元の状態に戻ることが多いので必要以上に心配する必要はありません。
一時的なインスリン抵抗性が起きやすい
糖質や脂質の多い食事をすると、体での中でインスリンが多く分泌されます。その影響で筋肉や肝臓の細胞が一時的にインスリンに反応しにくくなり、翌日は血糖値が上がりやすくなることがあります。
そのため、食べ過ぎた翌日は野菜から食べる(ベジファースト)など、血糖値の急上昇を防ぐ食べ方を意識することが大切です。
食べ過ぎた翌日にやるべきこと
① 朝食は抜かない

食べ過ぎた翌日は、「お腹が空かない」「胃がもたれて食欲がない」という方も多いと思います。
前日の脂っこい食事や量の多い食事によって、消化がまだ続いている状態のこともあり、食欲がわかないこともあります。
しかし、どんなに食欲がなくても、朝食を完全に抜くのはおすすめできません。
朝食を抜くと次の食事までの時間が長くなり、昼食後の血糖値が急激に上がりやすくなるといわれています。
そのため、食欲がない場合でも軽く何かを食べることがとても大切になります。
【食欲がない時におすすめ朝食メニュー】
- ヨーグルト(カップヨーグルトでもOK)
- グラノーラ
- 味噌汁1杯
- 牛乳や豆乳を1杯
- ゆで卵 など
糖質単体で食べると血糖値が急激に上がりやすいので、タンパク質や食物繊維の多い食品を選ぶのが血糖値を整えるコツです。
上記のように牛乳一杯や豆乳一杯だけでも大丈夫です。
「何か一品食べる」くらいの気持ちで十分なので、無理なく口にできるものを選びましょう。
② 水分をしっかりとる
食べ過ぎた翌日は、水やお茶などの水分をしっかりとることが大切です。
「むくんでいるのに水を飲んだら、さらにむくむのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、実際には水分を控えるよりも、適度に飲んだ方がむくみの改善につながりやすいとされています。
食べ過ぎた翌日は、体は塩分濃度を一定に保とうとして水分を体内に保ちやすくなり、むくみにつながることがあります。
ここで水やお茶をしっかり飲むと、余分な塩分が尿として排出されやすくなり、体内の水分バランスが整いやすくなります。
そのため、水や麦茶などの糖分を含まない飲み物でこまめに水分補給をするのがおすすめです。
③ 野菜などの食物繊維を意識する

食べ過ぎた翌日は、食物繊維を意識して摂ることも大切です。
野菜やきのこ、海藻などに多く含まれる食物繊維には、食後の血糖値の上昇をゆるやかにする働きがあります。
食事の最初に野菜をとること(ベジファースト)で、糖質の吸収がゆっくりになり血糖値の急上昇を抑えやすくなります。
また、食物繊維は腸内環境を整える働きもあります。
食べ過ぎた翌日は胃腸に負担がかかっていることがあるため、腸内環境を整える食事をすることで体が元の状態へと戻りやすくなるのです。
【おすすめの食物繊維が多く摂れるメニュー】
- めかぶやもずく+納豆
- 海藻や豆腐+サラダ
- アボカド+サラダ
- きのこや野菜+味噌汁
- なめたけやオクラ+冷奴
ただ、野菜があまり好きではない方や、家に野菜の買い置きがなく、「わざわざ買い物に行くのは大変」という方もいると思います。そんな時は、主食に食物繊維の多く含まれるものを選ぶと自然と補うことができます。
【主食で食物繊維を補える食品】
- もち麦入りごはんや玄米のおにぎり
- 全粒粉パン・ライ麦パン
- そば
朝食に用意することができなければ、昼食以降からでもよいので取り入れるようにしましょう。
④軽く体を動かす
食べ過ぎた翌日は余ったエネルギーを消費するために、軽く体を動かすことが大切です。
そのまま動かずにいると、使われなかったエネルギーは体脂肪として蓄えられやすくなります。
ウォーキングもおすすめですが、特別な運動をしなくても日常生活の中で体を動かすだけでも十分効果があります。
例えば、
- いつもはエレベーターを使うところを階段で移動する
- 風呂掃除や床掃除など、いつもより体を動かす家事をする
- ゴミ出しや買い物で歩く距離を増やす
- 食後に軽いストレッチをする
このように、いつもより少し動くことを意識するだけでもOKです。
また、食後に軽く体を動かすと血糖値の上昇をゆるやかにする効果が期待できるため、タイミングとしては食後がおすすめです。
激しい運動は体に負担をかけることもあるため、必要ありません。
無理せずにいつもより少し体を動かしてみましょう。
食べ過ぎた翌日にやってはいけないこと
① 朝食を抜く
食べ過ぎた翌日は、朝食を抜いてカロリー調整しようとする方が多いですがこれは要注意です。
朝食を抜くと空腹時間が長くなり、次の食事で血糖値が急激に上がりやすくなります。
いわゆる血糖値スパイク(血糖値の乱高下)が起こりやすい状態です。
そして、血糖値が急激に上がると、それを下げるためにインスリンが一度に多く分泌されます。
インスリンには余った糖を脂肪として蓄える働きがあるため、中性脂肪が増えやすく、太りやすくなる原因にもなります。
つまり、
食事を抜く → 空腹時間が長くなる → 血糖値が急上昇 → 脂肪をため込みやすくなる→体重の増加→インスリン抵抗性→血糖コントロールの悪化
という悪循環につながりやすいのです。
食べ過ぎた翌日は1食や2食ですましたりせずに、量やバランスを調整しながら3食食べるようにしましょう。
②激しい運動でリセットしようとする

食べ過ぎた翌日に、「運動でエネルギーを消費しよう」と考えて急に激しい運動をするのはおすすめできません。
食べ過ぎた直後や翌日は、消化がまだ続いていたり血糖値も乱れやすい状態です。
その状態で急激に強度の高い運動を行うと、次のような影響が出ることがあります。
- 血糖値が大きく上下しやすくなる
- 低血糖のリスクが上がる(特に食べた糖質がまだ体に吸収されていないとき)
- 消化不良や胃もたれが悪化しやすい
- 疲労感が強く出やすい
食べ過ぎた翌日は体が「調整モード」に入っているため、身体への負担が強い運動は逆効果になりやすいのです。
激しい運動とはどれくらい?
激しい運動の目安は、以下のような「息が上がる・会話が難しいレベル」の運動になります。
- ジョギングやランニング
- HIIT(高強度インターバルトレーニング)
- 筋トレ(スクワット・ベンチプレスなどを限界近くまで)
- 長距離サイクリング
- 激しいスポーツ(テニス、バスケ、サッカーなど)
体感的な目安として、「汗がどっと出る」「話しながらだとできない運動」は食べ過ぎた翌日には向きません。
③主食を完全に抜く
「昨日は食べ過ぎたから、今日はご飯を抜こう」と食べ過ぎた翌日に主食を完全に抜いて調整しようとする方もいます。
しかし、主食を抜いて食事量を極端に減らすと、体がエネルギー不足によって強い空腹を感じやすくなることがあります。
その結果として、次の食事で一気に食べ過ぎてしまう原因になることがあります。
血糖コントロールを整えるためには、3食の食事量をなるべく均等にとることが理想的とされています。
3食を同じ量にする必要はありませんが、食事量が1食に集中しすぎないようにしましょう。
朝に食欲がなれけば軽めに食べて、昼と夜は同じくらいの量を目安にするなど、できるだけ食事量に大きな偏りが出ないようにするのがおすすめです。
④甘い飲み物を飲む

実際の患者さんで、食欲がないときに「口の中がすっきりするから」と甘い炭酸飲料を飲んでいる方がいらっしゃいました。
もちろん無糖の炭酸水やフレーバー付き(無糖)の炭酸水であれば問題ないのですが、砂糖が入った炭酸飲料となると話が別です。
例えば500mlのペットボトルを1本飲むと、商品にもよりますが約40〜50g程度の糖質を摂取することになります。
さらに、飲み物に含まれる糖質は液体のため吸収が速く、血糖値が急激に上がりやすい傾向にあります。
特に胃が空っぽの状態で飲むと、血糖値スパイクを起こすリスクも高くなります。
安易に加糖飲料を飲むのではなく、水やお茶、無糖の炭酸水などを選んで体を整えていきましょう。
まとめ
食べ過ぎてしまった翌日は、血糖値が安定しやすい過ごし方で体を元に戻すことが大切です。
この記事では、翌日に心がけたいことと血糖値が乱れやすくなる行動を4つずつ紹介しました。
朝食を抜かないこと、極端な制限をしないこと、飲み物や体の動かし方を少し意識することなど、どれも日常生活に取り入れやすいものだと思います。
食べ過ぎてしまう日があっても、翌日の過ごし方を整えることで血糖値の乱れは防ぎやすくなります。
できることから実践してみましょう(^^)/
■商品監修・記事執筆のご相談について
管理栄養士として、食品・健康関連商品の監修・記事執筆を承っております。
栄養成分表示を踏まえた商品解説にも対応可能です。
ご相談はお問い合わせページよりお気軽にご連絡ください。
■参考文献・出典
・文部科学省「日本食品標準成分表 2020年版(八訂)」
・文部科学省「日本食品標準成分表 増補2023年版」
・厚生労働省日本人の食事摂取基準(2020年版)
(https://www.mhlw.go.jp/)
・日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」
・厚生労働省 e-ヘルスネット
(https://kennet.mhlw.go.jp/)

コメント