【コラム】甘い物をやめなくてもHbA1cが改善する人の共通点とは?

カフェで紅茶を飲みながらケーキを食べる女性 糖尿病について

はじめに

「甘い物はやめましょう」と言われて、つらい思いをしたことはありませんか?

実際の栄養指導の現場では、「甘い物をやめてもHbA1cがなかなか下がらない人」もいれば、「甘いものを適度に楽しみながら血糖コントロールが良い人」のどちらもいらっしゃいます。

実際、糖尿病の血糖コントロールは、「甘い物を食べているどうか」だけでは決まりません。

この記事では、甘い物をやめなくてもHbA1cが安定している人の特徴を、管理栄養士の視点から詳しく解説します。

HbA1cは「甘い物の有無」だけでは決まらない

HbA1cは生活の総合点で決まることを表す天秤を描いた図

「甘いものを食べたから血糖値が上がる」
これは間違いではありませんが、実はそれだけで血糖コントロールが決まるわけではありません。まず大切なのは、HbA1c(ヘモグロビンA1c)がどんな指標なのかを正しく知ることです。

そもそもHbA1cとは、過去1〜2か月間の血糖値の平均を示す指標で、糖尿病のコントロール状態を判断するために広く使われています。
日々の血糖値は、食事や運動、体調などによって大きく変動しますが、HbA1cはその変動を含めた「全体の平均点」を表しています。

そのため、甘いものを食べた直後は血糖値が一時的に上がりますが、HbA1cが安定している場合は、長期的にみると血糖コントロールは保たれていると考えられます。

つまりHbA1cは、「ある時点の血糖値を示すもの」ではなく、毎日の食事や運動、生活リズムなどの「積み重ねによって決まる」指標なのです。

実際に血糖コントロールには、次のような複数の要素が関わっています。

・インスリン分泌量
・インスリン抵抗性(インスリンの効きやすさ)
・薬との相性
・運動習慣
・生活リズム

例えば、インスリンの分泌が十分であったり、運動習慣によって筋肉がしっかり働いている人は、同じ量の糖質を摂取しても血糖値が上がりにくいことがあります。

反対に、食事内容に気をつけていても睡眠不足や生活リズムの乱れ、運動不足などが重なると血糖値が下がりにくくなることもあります。

このように、血糖値は「甘い物を食べたかどうか」という単純な話ではなく、さまざまな要素が影響し合って決まります。

言い換えると、血糖コントロールはひとつの項目で評価されるものではなく、生活全体のバランスによる“総合点”で決まるのです。

甘いものをやめなくてもHbA1cが安定している人の共通点

カフェで小さなスイーツを美味しそうに食べる女性の姿

甘い物をやめていないにもかかわらず、HbA1cが安定している方に共通しているのは、「甘い物との付き合い方がとても上手」であるという点です。

そのような方達は、無意識のうちにいくつかのマイルールを作り、それを習慣として続けていらっしゃいます。

ここでは、実際の臨床現場でよく見られる共通点を紹介します。

甘い物を食べる頻度が決まっている

HbA1cが安定している方は、甘い物を「思いつき」で食べることが少なく、食べるタイミングや頻度がある程度決まっています。

・クリニックの定期診察に来た日は、帰りにケーキを食べて帰る
・家では食べないけど、外食のときだけデザートを楽しむ
・週に2日は甘い物を食べていい日と決めている

このように、自分なりのルールを持っていることが多く見られます。

「職場でお菓子が配られたから」「小腹が減ったから」と突発的に甘いものを食べる機会が増えると、糖質摂取量が積み重なりやすくなります。
一方で、頻度が決まっていると摂取量が一定になりやすく、血糖コントロールも安定しやすくなります。

甘い物は食後に食べる

甘い物を食べるタイミングも、血糖コントロールに大きく影響します。

HbA1cが安定している方は、甘いものを単独で食べるのではなく、食後のデザートとして食べていることが多いです。

食事のあとに甘いものを食べると、すでに摂取した食物繊維や脂質、たんぱく質の影響で糖の吸収がゆるやかになります。その結果、血糖値の急激な上昇(血糖スパイク)を起こしにくくなります。

ただし、甘い物は必ずしも食後でなければいけない、というわけではありません。
間食として楽しむ場合、糖質量が少なければ血糖への影響は比較的小さいとされています。

一般的に、糖質量が10g未満であれば血糖値への影響は低いと考えられるので、糖質量を意識することで、血糖値への影響を抑えることは可能なのです

量が「自分の適量」で固定されている

HbA1cが安定している方は、「どのくらいなら大丈夫か」という自分の適量を把握していることが多くあります。

・小さめサイズのケーキを選ぶ
・個包装のお菓子を選ぶ
・1つを数回に分けて食べる
・家族や友人とシェアする

など、食べ過ぎを防ぐ工夫を自然に取り入れています。

甘い物は嗜好性が高く、気づかないうちに食べる頻度や量が増えやすい食品です。量を固定しておくことで、糖質摂取量が大きく増えることを防ぎ、血糖コントロールを安定させることにつながります。

甘い飲み物を飲まない

甘い物を楽しみながらHbA1cが安定している方に多い特徴として、甘い飲み物を控えていることが挙げられます。

清涼飲料水や加糖コーヒー、ジュースなどの液体に含まれる糖質は、固形食品と比べて吸収が非常に早く、血糖値が急激に上昇しやすい特徴があります。

また、飲み物は満腹感を得にくいため、糖質を多く摂取してしまっても気づきにくいという点もあります。

そのため甘い物は食べるけど、飲み物はきまって無糖のお茶や砂糖なしのコーヒー、という方は本当に多いです。

食後の活動量がある

HbA1cが安定している方は、激しい運動をしていなくても、食後に体を動かすことを意識している方が多いです。

・食後に買い物に出かける
・食後に皿洗いなどの家事をする
・食後に軽く散歩をする

など、日常生活の中で体を動かしています。

食後に体を動かすと、筋肉がブドウ糖をエネルギーとして利用しやすくなり、血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。

激しい運動をする必要はなく、無理のない範囲で体を動かす習慣を続けることが、血糖コントロールの安定につながります。

甘い物を控えているのにHbA1cが高い人の特徴

病院の椅子で思い悩む女性の姿

「甘い物はほとんど食べていないのに、HbA1cがなかなか下がらない」
このように悩んでいる方も少なくありません。

血糖コントロールは生活習慣全体の影響を受けるため、甘い物を控えていても別の要因によって血糖値が上がりやすくなっているケースも多く見られます。

ここでは、臨床現場でよく見られる特徴を紹介します。

食事時間が不規則

HbA1cが高いままになりやすい方に多い特徴として、食事時間が日によって大きく変わることが挙げられます。

・朝食を食べない日がある
・昼食の時間が日によって大きくずれる
・夕食が遅い時間になりやすい
・食事と食事の間隔が長すぎる

このように食事のリズムが乱れると、血糖値の変動が大きくなりやすく、体内のインスリンの働きも不安定になります。

特に、空腹時間が長くなりすぎると、次の食事で血糖値が急上昇しやすくなるため、結果としてHbA1cが改善しにくくなることがあります。

主食量が多い・日によって波がある

血糖値に最も影響するのは、甘い物だけではなく糖質の総量です。

・ご飯を大盛りで食べる習慣がある
・お腹が空いた日は主食量が大きく増える
・日によって主食量にばらつきがある
・麺類や丼ものなどの単品の食事が多い

このような場合、甘いものを控えていても糖質摂取量が増えやすく、血糖コントロールが不安定になりやすくなります。

血糖値を安定させるためには、「甘い物を控えること」だけでなく、主食量をある程度一定に保つことも重要です。

無意識の間食が多い

甘い物を意識的に控えていても、気づかないうちに糖質を摂取しているケースもあります。

・ポテトチップスなどのスナック菓子を習慣的に食べる
・仕事中におかきやせんべいなど、しょっぱい系スナックをつい口にする
・ナッツやクラッカーなどを「軽い間食」と思って、量を決めずに食べる

このように、少量の間食でも回数が増えると糖質摂取量が積み重なり、血糖コントロールに影響することがあります。

「甘い物は食べていない」という認識でも、実際には間食の回数が多くなっている場合もあるため、1日の食習慣を振り返ることが大切です。

睡眠不足・ストレス

血糖コントロールには、食事だけでなく睡眠やストレスも大きく関係しています。

・睡眠時間が短い
・寝る時間や起きる時間が日によって大きく変わる
・仕事や家庭のストレスが強い
・慢性的な疲労感がある

睡眠不足やストレスが続くと、血糖値を上げやすいホルモンが分泌されやすくなり、インスリンの働きも低下しやすくなります。

その結果、食事内容に気をつけていても血糖値が下がりにくくなることがあります。

筋肉量が少ない・運動不足

筋肉は血液中のブドウ糖を取り込み、エネルギーとして利用する大切な役割を担っています。
そのため、筋肉量が少なかったり運動習慣が少ない場合は、血糖値が上がりやすくなることがあります。

・日常的に歩く機会が少ない
・座っている時間が長い
・運動習慣がほとんどない
・年齢とともに活動量が減っている

このような状態では、食後の血糖値が下がりにくくなり、HbA1cが改善しにくくなることがあります。
ジムに通ったり本格的な運動をしなくても、ストレッチや家事など、日常の動きだけでも体を動かすことはとても大切です。

甘い物は「やめる」より「付き合い方」が大切

糖尿病と聞くと、「甘い物はやめなければならない」と思う方も多いかもしれません。
しかし実際には、甘い物を完全にやめていなくても、HbA1cが安定している方は少なくありません。

〈甘い物を楽しみながら血糖コントロールが安定している人の特徴〉

✔️食べる頻度が決まっている
✔️食べるタイミングを意識している
✔️量を自分の適量でコントロールしている
✔️甘い飲み物を控えている
✔️食後に体を動かす習慣がある

〈甘い物を控えているのにHbA1cが高い人の特徴〉

✔️食事時間が不規則
✔️主食量にばらつきがある
✔️無意識の間食が多い
✔️睡眠不足やストレスが続いている
✔️運動量や筋肉量が少ない

大切なのは、「甘い物を食べるかどうか」ではなく、「どのように食べるか」「生活全体をどう整えるか」という点です。

今回ご紹介したポイントを参考にしながら、できそうなことを1つずつ取り入れてみてください。
少しの工夫でも、血糖値の動きが変わってくることがあります。

食事は栄養を摂るだけでなく、生活を豊かにする大切な時間です。
食べる楽しさを大切にしながら、自分に合ったルールを見つけていくことが、血糖コントロールを安定させる大きなポイントになります。

今回の記事が、甘い物との向き合い方を考えるヒントになれば嬉しいです(^^)/


■参考文献・出典
・日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」
・糖尿病ネットワーク
https://dm-net.co.jp/
・厚生労働省 e-ヘルスネット
https://kennet.mhlw.go.jp/

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