A. 朝食を完全に抜いてしまうと昼食後の血糖値が急上昇しやすくなる可能性があります。
無理に多く食べる必要はありませんが、少しでもいいので何かを食べることが大切です。食欲がない時の朝食のとり方や血糖値を上げにくいおすすめの食品など、管理栄養士が詳しく解説します。
はじめに

栄養相談をしていると、「朝は食欲がない」「あまり食べたくない」という方は少なくありません。
前日の食べ過ぎで胃が疲れていたり、起きてすぐは胃の働きがまだ活発ではなかったり、そもそも朝食をとる習慣がなく食欲を感じにくかったり、理由は様々です。
朝食をとらずにそのまま昼まで過ごしてしまう方もいますが、朝食を抜くことで体の中では血糖値の動きに変化が起こることがあります。
では、朝食をとらないと体にはどのような変化が起きるのでしょうか?
血糖値の観点から詳しく見ていきましょう。
胃が空っぽの状態が長くなると血糖値はどうなる?

朝食を食べなかった場合、前日の夕食から昼食までの時間が長く空くことになります。
このように長時間食べない状態が続くと、体はエネルギー不足の状態になります。
すると体はエネルギーを確保するために脂肪を分解し、ケトン体をつくってエネルギー源として利用しようとします。このとき血液中では遊離脂肪酸も増えていきます。
遊離脂肪酸が増えると、体の中ではインスリンが効きにくい状態になり、食事から入ってきた糖をうまく処理しにくくなるのです。
その結果、昼食後の血糖値が急激に上がりやすくなり、血糖値スパイクにつながる可能性があるのです。
血糖値スパイクとは?
血糖値スパイクとは、食後に血糖値が急激に上がり、その後急激に下がる状態のことをいいます。
「スパイク(spike)」にはトゲという意味があり、血糖値がグラフ上でトゲのように急上昇し、その後急激に下がる様子からこの名前がつけられています。
通常、食事をすると血糖値はゆるやかに上昇し、インスリンの働きによって少しずつ元の値に戻っていきます。
しかし、血糖値スパイクの場合は食後に血糖値が急上昇し、インスリンが多く分泌されることで血糖値が急激に下がることがあります。
このような血糖値の急激な上がり下がりは血管に大きな負担をかけると考えられており、繰り返すことで動脈硬化を進める要因になる可能性があります。
さらに、長期的にはインスリンを分泌する膵臓にも負担がかかり、糖尿病の発症リスクを高める可能性があると言われているのです。
血糖値スパイクが起きやすい生活習慣
血糖値スパイクは体質だけで起こるものではなく、日々の生活習慣や食べ方の影響が大きいといわれています。
特に、食事の仕方や食習慣によって食後の血糖値が急激に上がりやすくなることがあります。
例えば、次のような生活習慣がある場合は、血糖値スパイクが起きやすくなる可能性があ流ので要注意です。
- 朝食を抜く→空腹時間が長くなることで、食後の血糖値が急激に上がりやすい
- 早食い→短時間で多くの糖が体に入るため、血糖値が急上昇しやすい
- 甘い飲み物→加糖飲料に含まれる糖質は吸収が早いため、血糖値を急激に上げやすい
このような習慣が続くと、知らないうちに血糖値スパイクを起こしやすくなるため、食生活を改めて見直してみるのも大切です。
食欲がない朝は「何か1品食べる」がポイント
血糖値スパイクを起こさないためにも、朝食を完全に抜くことはおすすめできません。
とはいえ、食欲がないのに朝からしっかり食べようと無理をする必要もありません。
「何か一品でもいいから食べる」くらいの気持ちで、口にできそうなものを取り入れることが大切です。
朝におすすめの血糖値を上げにくい食品

食欲がない時でも食べやすい、朝にぴったりな食品をご紹介します。
- ヨーグルト
- ゆで卵
- 納豆
- 豆腐
- 具だくさんの味噌汁
- 野菜スープ
- 牛乳
- 豆乳
- プロテインドリンク
朝食に一品だけ食べる場合は、たんぱく質や食物繊維を含む食品を選ぶことが大切です。
パンやおにぎりなどの糖質主体の食品を単独で食べると、血糖値が急上昇しやすくなる可能性があるからです。
上記で紹介した中でも特に私の推し食品は、ゆで卵になります。
良質なたんぱく質がしっかりとれて腹持ちもよく、まとめて作り置きもしておけるので便利です。
その他にも、納豆や具だくさんの味噌汁はたんぱく質と食物繊維の両方が摂れるのでおすすめです。
このような食品を食べることで胃が空っぽの状態が長くなるのを防ぎ、昼食後の血糖値の急上昇を抑えやすくなります。
血糖値スパイクを防ぐための朝食のコツ
血糖値スパイクを防ぐための朝食のコツをご紹介します。
① 朝食を完全に抜かない
朝は食欲がないこともありますが、胃が空っぽの状態が長くなると昼食後の血糖値が上がりやすくなります。何か一品だけでもいいので食べるようにしましょう。
② たんぱく質や食物繊維を取り入れる
卵、納豆、豆腐、野菜、海藻などを朝食に摂ることで糖の吸収がゆるやかになり、食後の急激な血糖上昇を抑えやすくなります。
③ 糖質主体の朝食を避ける
パンだけ、おにぎりだけ、といった食べ方は血糖値が急上昇しやすくなることがあります。食パンだけではなくサンドイッチにする、おにぎりならゆで卵もつける、など「主食+おかず」の組み合わせがおすすめです。
たくさん食べる必要はないので、まずは食べられそうな食品を取り入れてみましょう。
朝食は何時までに食べるのがいい?

「朝食はなるべく早い時間に食べた方がよい」と思っている方もいるかもしれませんが、必ずしも起きてすぐに食べる必要はありません。
朝の時間帯のうちに軽く食べておくことが理想にはなりますが、食欲がない時は無理に急いで食べる必要はなく、体調に合わせて少し時間をずらしても問題ありません。
「午前中のうちに軽く何かを食べておく」くらいの気持ちで大丈夫です。
無理をしないで、できる範囲で朝食を取り入れてみてください。
まとめ|今日からできる3つのこと
血糖値スパイクを防ぐためには、毎日の食習慣を少し見直すことが大切です。
今日からできるポイントを3つにまとめました。
- 少しでも朝食をとる
- たんぱく質や食物繊維をとる
- 糖質主体の朝食を避ける
朝はどうしても食欲がわかないという日もあると思います。
そんなときは朝食を完全に抜くのではなく、手軽に口にできる何かを食べることを意識してみてください。毎朝の積み重ねが血糖値スパイクを防ぎ、ゆくゆくは血糖値の安定にもつながっていきます(^^)/
■商品監修・記事執筆のご相談について
管理栄養士として、食品・健康関連商品の監修・記事執筆を承っております。
栄養成分表示を踏まえた商品解説にも対応可能です。
ご相談はお問い合わせページよりお気軽にご連絡ください。
■参考文献・出典
・厚生労働省日本人の食事摂取基準(2020年版)
(https://www.mhlw.go.jp/)
・日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」
・厚生労働省 e-ヘルスネット
(https://kennet.mhlw.go.jp/)
・

コメント