低糖質=安心ではない理由

皆さんは低糖質商品を利用しますか?私は糖質オフのグラノーラをよく利用しています。
低糖質や糖質オフの商品は、糖質量を気にしている方にとって心強い存在ですよね。
健康を意識している方ほど、手に取る機会が増えているのではないでしょうか。
では、その商品を選ぶとき、栄養成分表示のどこを見ていますか?
多くの場合、まず確認するのは「糖質量」だと思います。もちろん、それはとても大切です。
しかし、糖質だけを見て選んでいると、思わぬ落とし穴があることもあります。
実は、糖質を減らす代わりに脂質が多くなっていたり、甘味を補うために人工甘味料が多く使われている商品も少なくありません。
そのような商品を毎日食べ続けているうちに、強い甘さに味覚が慣れてしまう可能性も考えられます。
「低糖質=安心」とは、必ずしも言い切れないのです。
そこでこの記事では、低糖質商品を選ぶときに「本当に見るべき栄養表示」を5つに絞って、管理栄養士の視点からわかりやすく解説していきます。
なんとなく選ぶのではなく、根拠をもって選べるようになりましょう。
絶対見るべき栄養表示ベスト5
第1位:糖質量
低糖質商品を選ぶ時に、まず最初に確認すべきなのはやはり「糖質量」です。
商品パッケージに「低糖質」「糖質オフ」と書かれていても、実際にどれくらい糖質が含まれているかは、必ず栄養成分表示で確認しましょう。

重要なのは、「1食あたりの糖質量」で見ることです。
栄養表示が「100gあたり」になっている場合、そのままの数字を見て判断してしまうと実際に食べる量とのズレが生じてしまいます。
特に注意したいのがドリンク類です。ペットボトル飲料などの多くは、「100mlあたり」で表示されています。
例えば、100mlあたり糖質5gと書かれている飲料でも、500mlのペットボトル1本を飲めば糖質量は25gになります。
「100mあたりでは低いけど、1本飲むと意外と多い」ということはよくあります。
糖質がどのくらい減っているかよりも、実際に自分が摂る量が何gになるのかを把握することが大切です。まずはここを、必ずチェックする習慣をつけましょう。
第2位:脂質
低糖質商品の“落とし穴”になりやすいのが脂質です。
糖質を減らす代わりに、味や満足感を補うために脂質が増えている商品は少なくありません。
その場合、糖質量は控えめでもカロリーは意外と高くなっていることがあります。
脂質は1gあたり9kcalなので、糖質(1g=4kcal)の約2倍以上のエネルギーがあります。
そのため、脂質が増えるとカロリーは一気に高くなります。
日本人の食事摂取基準では、脂質は総エネルギーの20〜30%が目標量とされています。
これを1日の目安量に換算すると、このようになります。
- 女性(約2000kcal想定):約45〜65g
- 男性(約2600kcal想定):約60〜85g
つまり、1日に使える脂質量は思っているほど多くありません。
例えば女性の場合、1日50g前後が脂質の目安だとすると、おやつや軽食で15g摂るとそれだけで1日の約30%を使うことになります。
■間食や軽食選びの脂質基準
| 脂質量 | 目安 |
|---|---|
| 5g以下 | かなり控えめ |
| 6〜10g | 標準 |
| 11〜15g | やや多め |
| 16g以上 | 多い |
間食や軽食の場合、脂質の摂取量はできれば10g以下に抑えたいところです。
血糖値が気になる方は、糖質は低いけど脂質が20g近いという商品は高カロリーになるため、少し注意が必要になります。
上の表をもとに、1日のトータル脂質量の中でその食品に含まれる脂質がどのくらいを占めるのかを考えて選ぶと、これまでとは少し違った選び方ができるかもしれません。
第3位:たんぱく質
低糖質商品を選ぶときは、「糖質が少ないか」だけでなく、たんぱく質がきちんと含まれているかも必ず確認しましょう。
ではなぜ、たんぱく質をセットで見るべきなのでしょうか。それには以下のような理由があります。
① 満腹感を保ちやすい
一般的に、たんぱく質を含む食事は胃の中に3〜4時間ほどとどまるといわれています。
消化吸収に時間がかかるため腹持ちがよく、血糖値の急上昇を防ぎやすくなります。
② 筋肉の維持につながる
筋肉は血糖を取り込む大切な臓器です。筋肉量が落ちると、血糖コントロールにも影響が出やすくなります。特に中高年以降は、意識してたんぱく質を確保することが重要です。
③ 血糖の安定に役立つ
糖質単体で摂るよりも、たんぱく質と組み合わせることで食後血糖値の上昇がゆるやかになります。
■1日のたんぱく質の目安量は?
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、成人女性で約50g、成人男性で約60〜65gが推奨量とされています(年齢区分により差があります)。
- 成人女性:約50g/日
- 成人男性:約65g/日
実際の食生活を考えると、男女平均して約60g前後を1日のたんぱく質摂取量の目安として考えると分かりやすいでしょう。
■間食や軽食選びのたんぱく質基準
| たんぱく質量 | 目安 |
|---|---|
| 5g未満 | 少なめ |
| 5〜10g | 標準 |
| 10g以上 | しっかり補える |
例えば、1日に60gのたんぱく質が必要だとすると、間食で10g補えれば、1日の約6分の1を確保できる計算になります。
朝食で十分なたんぱく質が摂れなかった日は、間食に低糖質かつ高たんぱくな商品を選ぶことで、1日の栄養バランスを整えやすくなります。
第4位:食物繊維
血糖値が気になる方にとって、食物繊維は見えにくいけれど重要な栄養素です。
食物繊維には、糖の吸収をゆるやかにする働きがあります。特に水溶性食物繊維は、食後血糖値の急上昇を抑えることが知られています。
糖質量が同じでも、食物繊維が多い食品のほうが血糖値は上がりにくくなります。
また、食物繊維は腸内細菌のエサになり、腸内環境を整える働きがあります。
腸内環境の改善は、血糖コントロールにもよい影響を与えることが報告されています。
このように、食物繊維は血糖値を安定させるうえで大切な働きをしています。
また、不足しやすい栄養素でもあるため、栄養表示で食物繊維を補える商品かどうかもぜひチェックしてみてください。
食物繊維の表示については少し見方にコツがあるため、次に詳しく説明していきます。
■ 食物繊維の表示がない場合の見方
実は、食物繊維は必ず表示しなければならない項目ではありません。そのため、商品によっては表示がないこともあります。

① 炭水化物と糖質の両方が表示されている場合
「炭水化物」 − 「糖質」 = 「食物繊維量」
となります。そのため、炭水化物4.5g、糖質3.9gの場合は食物繊維0.6gとなります。

② 炭水化物のみ表示されている場合(糖質・食物繊維の両方の表示がない場合)
この場合は残念ながら食物繊維量を正確に知ることはできません。
ただ、食物繊維が豊富な商品であれば、アピールポイントとして表示されていることが多いものです。どちらの表示もない場合はそれほど量は多くない可能性が高いです。
第5位:原材料名
低糖質食品を選ぶとき、必ずチェックしてほしいのが「原材料名」です。
原材料は使用量の多い順に書かれているので、最初に書かれているものほど、その商品を作っている主成分になります。
見るポイントはシンプルで先頭の3つだけでOKです。
こんな表示は要チェック
低糖質食品では、砂糖の代わりに人工甘味料が使われていることがよくあります。
・アスパルテーム
・スクラロース
・アセスルファムK など
人工甘味料は血糖値を急上昇させにくいため、うまく活用すれば選択肢のひとつになりますが、砂糖よりも強い甘みを持つものが多く、甘さに舌が慣れてしまいやすいという面も持っています。
強い甘みに慣れると、より甘いものを求めやすくなったり、素材本来のやさしい甘みを感じにくくなるといった変化が起こる場合もあります。
そのため、「頻度を決める」「食べる量を意識する」といった使い方が大切になります。
甘味料は完全に避けるべきものではありませんが頼りすぎず、上手に距離を取りながら活用していくといいでしょう。
■原材料の“最初の3つ”が教えてくれること
糖質量が低いことは、それだけで必ずしも「体にやさしい」とは言い切れません。
だからこそ、原材料表示にも目を向けてみましょう。
表示は使用量の多い順に書かれているため、最初の3つ目くらいまでが「大豆」「卵」「ナッツ」「乳製品」など素材そのものの名前が書かれている商品は、比較的シンプルなつくりであることが多いです。
私たちの体は、毎日の食事からつくられています。
体をつくる栄養素としてイメージしやすい素材が主原料になっているものの方が、安心して選ぶことができますね。
■原材料表示を見る時のポイント
- 原材料名の先頭3つを見る
- 人工甘味料や添加物が多用されていないかを見る
- 素材の組み合わせが想像できる商品を選ぶ
この3つのポイントを押さえるだけで、商品選びはぐっと質が高くなります。
栄養成分の数字だけでなく原材料を見る習慣がつくと、中身を見極める力が身についていきます。
まとめ
低糖質商品を選ぶときにどうしても「糖質量」だけに注目しがちですが、確認しておきたい表示はそれだけではありません。
脂質の量は適切か、たんぱく質や食物繊維はしっかり含まれているか。
さらに、原材料名を見て「何からできているのか」を思い浮かべることも大切です。
これらを意識するだけでパッケージの印象に振り回されず、自分で納得して商品を選べるようになっていきます(^^)/
■商品監修・記事執筆のご相談について
管理栄養士として、食品・健康関連商品の監修・記事執筆を承っております。
栄養成分表示を踏まえた商品解説にも対応可能です。
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■参考文献・出典
・文部科学省「日本食品標準成分表 2020年版(八訂)」
・文部科学省「日本食品標準成分表 増補2023年版」
・厚生労働省日本人の食事摂取基準(2020年版)
(https://www.mhlw.go.jp/)
・日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」
・厚生労働省 e-ヘルスネット
(https://kennet.mhlw.go.jp/)

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