A. 高たんぱく質食品の摂り過ぎが体に与える影響は、実は腎機能によって変わります。健康な腎機能を持つ方の場合、極端なたんぱく質量でなければ過度に心配する必要はありません。
一方で、腎機能に不安がある方や持病がある方は注意が必要です。
今回は高たんぱく質食品を摂りすぎるとどんなことが起こりうるのか、体の状態に合わせた考え方を管理栄養士が解説します。
はじめに

皆さんは、高たんぱく質食品を利用しますか?
最近はスーパーやコンビニに行くと、高たんぱくヨーグルトやグラノーラ、たんぱく質が摂れるサンドイッチ、豆腐バーなど、「高たんぱく」を売りにした商品がずらりと並んでいますよね。
その影響もあってか、「たんぱく質が多い=体に良い」そんなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
たしかにたんぱく質は筋肉だけでなく、血液・骨・ホルモン・酵素など、私たちの体をつくる材料になるとても大切な栄養素です。
不足すれば筋肉の低下を招いたり、体調不良につながるのも事実です。
一方で、こんな疑問を聞くことも増えてきました。
「プロテインを毎日飲んでいるけど、大丈夫なの?」
「高たんぱくな食事って、腎臓に負担がかかるって聞いたけど…」
「たんぱく質の摂りすぎって、どのくらいからなの?」
たんぱく質には推奨量があり、それを大きく超えて摂り続けた場合、体の状態によっては思わぬ影響が出ることもあります。
まずは正しく知ることから、一緒に確認していきましょう。
高たんぱくが“問題になる人”と“ならない人”の違い
高たんぱく質食品を摂りすぎると問題になるかどうかは、腎機能が正常かどうかで考えが分かれます。
過度に心配しなくてよいケース
腎臓の機能に問題がなく、バランスの取れた食事の中で体重あたりの推奨量を大きく超えない範囲であれば、体への影響はほとんど心配ありません。
「プロテインを飲んでいる=腎臓が悪くなる」という単純な話ではなく、腎臓に負担がかかるかどうかは、もともとの腎機能の状態や、たんぱく質摂取量、食事全体のバランスによって変わります。
現在のところ、健康な腎臓を持つ人で、たんぱく質の摂りすぎが直接腎機能の悪化につながるとは明確に示されていません。
問題になるのは、すでに腎機能が低下している場合や、極端に多い量を長期間続けている場合です。
摂り方に注意が必要なケース
一方で、次のような方は高たんぱく質食品の摂りすぎには注意が必要です。
- 進行した慢性腎臓病(CKD)のある方
- 糖尿病性腎症が進行している方
- 医師からたんぱく質制限を指示されている方
- 極端な糖質制限をしている方
腎臓は、たんぱく質の代謝で生じる老廃物を処理する臓器です。
機能が低下している場合は、腎臓に負担をかけすぎないことが大切ですが、その対応は一律ではなく、病状や栄養状態によって個別に調整されます。
そのため、たんぱく質の摂取量は自己判断せず、医師や管理栄養士と相談しながら決めていくことが大切です。
心配な方は、一度担当の管理栄養士に相談してみましょう。
また、極端な糖質制限でエネルギー源の多くをたんぱく質や脂質に頼っている場合も注意が必要です。思わぬカロリー過多や栄養バランスの偏りにつながることがあります。
自分がどの立場にいるのかを知った上で、適切な量を摂ることが大切になります。
具体的にはどんなことが起こる?
高たんぱく質食品を多く摂りすぎた場合でも、すぐに深刻な影響が体に出るとは限りません。
ここでは、食事全体のバランスが崩れた状態が長く続いた場合に起こりうる体の変化を、順番に見ていきましょう。
① 便秘
まず比較的起こりやすいのが、便秘になります。
高たんぱく食になると、お肉や卵、大豆製品、プロテイン食品が中心になりやすく、野菜や果物、穀類などの摂取量が減る傾向にあります。
その結果として食物繊維不足になり、腸内環境が乱れやすくなるのです。
また、腸内でたんぱく質が分解される際に出る窒素代謝物が腸内環境に影響する可能性も報告されています。
ただし、現時点では便秘になる主な原因は食物繊維不足や食事全体のバランスの偏りと考えられているため、たんぱく質を増やすなら、同時に食物繊維量も意識することが大切になります。
② 腎臓への影響
腎臓は、たんぱく質の代謝で生じる老廃物を処理する臓器です。
腎機能が正常な人であれば、極端な過剰摂取を続けない限り大きな問題は起こりにくいでしょう。
しかし、進行した慢性腎臓病(CKD)がある方やすでに腎機能が低下している方では、たんぱく質摂取量の調整が必要になる場合があります。
ただしその対応は一律ではなく、病状や栄養状態によって個別に判断されます。
そのため、たんぱく質の摂取量は自己判断せず、医師や管理栄養士と相談しながら決めていくことが大切です。
少しでも不安がある方は、主治医や担当の管理栄養士にご相談ください。
③ カロリーオーバー
最も現実的なのがこの問題かもしれません。
高たんぱく食品には、
・プロテインバー
・高たんぱくヨーグルト
・大豆を主原料とした商品
・チーズ系商品
などがありますが、「高たんぱく=低カロリー」とは限りません。
意外と脂質が多く含まれている商品もあり、知らないうちにエネルギー過多になることがあります。
特に血糖値を気にしている方は、糖質だけでなく総エネルギー量を見ることが大切です。
④ 体臭の変化(アンモニア臭)
極端な高たんぱく・低糖質食を続けると体内でケトン体が増え、体臭が変化することがあります。
また、たんぱく質の代謝産物の影響で、アンモニアのような匂いを感じる場合もあります。
体臭が出る頻度は高くありませんが、食事バランスが偏っている時のサインのひとつと考えられます。
どのくらいが“たんぱく質の摂りすぎ”になるのか?

たんぱく質の推奨量は、厚生労働省が示している日本人の食事摂取基準を参考にします。
【一般成人の場合の推奨量】
- 男性:約65g/日
- 女性:約50g/日
(体重1kgあたり約0.8~1.0gが目安)
例えば体重60kgの人の場合、一般的なたんぱく質摂取の目安は48〜60g程度になります。
毎食しっかり主菜を食べていれば、意外と届く量です。
筋力トレーニングをしている方では、体重1kgあたり1.2~1.6g程度まで摂取量が増えることもあるので、その場合は72〜96g/日が目安になります。
この目安量を大きく超えて、体重1kgあたり2.0g以上が習慣化している場合は「やや多め」と考えられます。
なお、糖尿病がある高齢者の方ではエネルギー不足や筋肉分解の影響で、通常よりたんぱく質が多く必要になることがあります。人によっては+10~20g/日程度増やすケースもあり、ここは個別調整が重要になります。
まとめ
高たんぱく質食品を摂りすぎるとどうなるのか――
それは体の状態、とくに腎臓の働きによって答えは変わります。
腎機能が保たれている健康な方であれば、極端に摂りすぎていなければ過度に心配する必要はありません。
一方で、慢性腎臓病(CKD)や糖尿病性腎症など腎機能に配慮が必要な方は、たんぱく質の摂取量を個別に調整することが大切です。
高たんぱく食品を「体にいいからたくさん摂ろう」と考えるよりも、まずは1日の食事全体のバランスを整えることが何より大切です。
たんぱく質量に迷ったら、ひとりで抱え込まずに管理栄養士に相談してみてくださいね(^^)/
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■参考文献・出典
・文部科学省「日本食品標準成分表 2020年版(八訂)」
・文部科学省「日本食品標準成分表 増補2023年版」
・厚生労働省日本人の食事摂取基準(2020年版)
(https://www.mhlw.go.jp/)
・日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」
・厚生労働省 e-ヘルスネット
(https://kennet.mhlw.go.jp/)

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