Q. ドライフルーツは食物繊維が豊富だからヘルシー?

ドライマンゴーがたくさん上半分に置いてある 間食

A. そうとは言えません。乾燥して糖がギュッと濃縮されているため、量が少なく見えても糖分は多く含まれています。ドライフルーツの種類ごとの目安量や糖質量もわかりやすくまとめました。

はじめに

先日、栄養相談で患者さんから「ドライフルーツって、食物繊維が多いから体にいいんですよね?」とご質問をいただきました。
確かにドライフルーツは“ヘルシーなおやつ”というイメージが強く、「食物繊維が豊富だから血糖値にも良さそう」と思っている方は結構多いです。

でも、ここにはひとつ大きな誤解があります。

実は、果物をドライフルーツにしても、食物繊維が増えるわけではありません。

ドライフルーツは、果物から水分が抜けただけの状態なので、

  • 食物繊維の量はほぼそのまま
  • 糖質だけがぎゅっと濃縮される

という変化が起きています。

つまり、水分が抜けることで食物繊維の量はほとんど変わらないのに、血糖値を上げる糖だけが増えてしまうのです。

血糖値の観点から見ると、これはあまり有利な変化とはいえません。

「食物繊維があるからヘルシー」と思って食べていると、知らないうちに血糖値を上げやすい食べ方になってしまうこともあります。

ドライフルーツは「糖質が濃縮された食品」

生の葡萄の房と隣にレーズンが比較されている構成

ドライフルーツは、果物を乾燥させて水分を取り除いて作られた食品です。
果物の水分が80〜90%ほど取り除かれることで、甘みがギュッと濃くなり、少量でも強い甘さを感じるようになります。
ここで大切なのが、甘みだけでなく糖質そのものも一緒に濃縮されているという点です。

たとえば、ぶどうとレーズンを比べてみると、

  • ぶどう(生)100g:糖質 約15g
  • レーズン(乾燥)100g:糖質 約70g

と、同じ重さでも4〜5倍もの差があります。これは水分が抜けて、糖分がギュッと詰まった状態になっているためです。

ドライフルーツに含まれる糖分は主に果糖です。果糖は血糖値を直接上げにくい糖質と言われていますが、「糖分が濃縮された状態」で量を食べると、果糖でも血糖値に影響してくるようになります。

果糖なのに、なぜ血糖値が上がるの?

果糖は小腸で吸収されたあと、肝臓に運ばれてエネルギーとして使われたり、ブドウ糖に変えられて血液中に放出されたりします。
体の中でいったん肝臓を通る「回り道」をして処理されるため、食べた直後に血糖値を急上昇させにくいという特徴があります。

「果糖=血糖値にやさしい」と思われがちですが、たくさんの果糖を摂取すればエネルギーとして使いきれず当然余ります。その余った分はブドウ糖に変換されて血液中に放出され、結果的に血糖値も上がっていくことになります。

その結果、ドライフルーツは食後すぐの血糖値はゆっくり上がるけれど、食べる量によってはその後にじわじわと高くなりやすい食品なのです。

果糖のもう一つの「見落とされがちな特徴」

果糖にはあまり知られていない、もう一つの大切な特徴があります。
それが、体の中で中性脂肪の材料になりやすいという性質です。
肝臓に集まった果糖は、エネルギーとして使い切れなかった分が中性脂肪の材料に変えられやすいのです。

しかも果糖は、
血糖値を上げにくい
インスリンもあまり出ない
という特徴があるため、
満腹感のブレーキがかかりにくいという問題もあります。

その結果、「血糖値はあまり上がっていないのに、肝臓では中性脂肪がどんどん作られていく」
という状態が起こりやすくなります。

この中性脂肪は血液中に放出され、
・脂肪肝
・中性脂肪の上昇
・インスリン抵抗性

といった、糖尿病や動脈硬化につながる流れを作っていきます。

つまり果糖を日常的にとり過ぎると、気づかないうちに体を「脂肪がたまりやすく、糖代謝が乱れやすい状態」へと変えてしまうのです。

生果物 vs ドライフルーツの糖質量比較(可食部100gあたり)

果物生の果物の糖質量
(g / 100g)
ドライフルーツの糖質量
(g / 100g)
プルーン(生)11g55.2g
アプリコット(生)9〜12g 60.6g
いちじく(生)10〜15g 64.6g
デーツ(生)60〜70g 64.3g
アップル(生)13〜14g 60g
レーズンの元(ぶどう・生)15g 76.2g
マンゴー(生)15〜16g 78.5g
パイナップル(生)10〜13g 70g

※本表の数値は日本食品標準成分表(八訂・2020年版、増補2023年版)の値を使用しています。
※生の果物については、日本食品標準成分表に「糖質」の直接記載がないため、炭水化物から食物繊維を差し引いて算出した推定値(約)を使用しています。一方、乾燥果実は成分表に基づく実測値から算出しています。
※ドライアップル、ドライパイナップルは日本食品標準成分表に単独食品として収載されていないため、生の果物の成分値と乾燥後の水分率をもとに推定した参考値(約)を用いています。

この表を見ると、果物を乾燥させて水分が抜けることで糖分が濃縮され、100gあたりの糖質量が大きくなることがよく分かります。

今回はわかりやすく同じ100gの重量で比較しましたが、ドライフルーツを100gも一度に食べる人はほとんどいません。
実際に食べる量は、ひとつかみ分や数枚、数粒といった少量ですよね。

ではどれくらいの量までなら血糖値的に安心なのでしょうか?それがひと目で分かるように、ドライフルーツの目安量をまとめました。

ド’ライフルーツは“量”がいちばん大事|糖質10〜15gを目安に

木のボードに種類ごとに盛られたマンゴーやレーズン、アプリコットなどのドライフルーツ

ドライフルーツは、糖尿病の食事療法では「果物」ではなく「嗜好品」に分類されます。
生の果物は食事の一部ですが、ドライフルーツはおやつやデザートとして考えなくてはいけないのです。

おやつの目安は1回あたり糖質10g以下が目安とされています。
甘味の満足感と血糖値への影響のバランスを考えると、ドライフルーツは糖質量10〜15gの範囲で食べるのが現実的な目安になります。

具体的なイメージもあると分かりやすいと思うので、ざっくりと種類ごとの目安量を表にまとめました。

血糖値を上げにくい「ドライフルーツの目安量(糖質10〜15g)」一覧

ドライフルーツ糖質10〜15gに相当する量の目安
🍍ドライパイン2切れ程度
🟣プルーン2〜3粒
🍑 ドライあんず(干しあんず)2〜3個
🍇レーズン20〜30粒
🥭 ドライマンゴー1〜2枚
🍈ドライイチジク1個前後
🌴 デーツ1個程度(大きいもの)
🍎 ドライアップル薄切り2〜3枚

血糖値を意識したドライフルーツの食べ方

ドライフルーツの少量入ったヨーグルトの器とナッツとチーズの入った器

ドライフルーツはヘルシーなイメージがありますが、水分が抜けて糖分が凝縮されているため、食べ過ぎると血糖値が上がりやすい食品です。

しかし量と食べ方を工夫すれば、血糖値にやさしい食品に変えることが可能です。

おすすめはドライフルーツを単独で食べるのではなく、たんぱく質や脂質と一緒に組み合わせること。

  • 無糖ヨーグルト+ドライフルーツ
  • チーズ+ドライフルーツ
  • ナッツ+ドライフルーツ

こうした組み合わせにすると糖の吸収がゆるやかになり、甘いスイーツを間食で食べるよりも血糖値が安定しやすい、満足感のある間食になります。

「甘いものが食べたいときに、少量のドライフルーツを上手に取り入れる」それだけで、間食の質は大きく変わってきます(^^)/


■参考文献・出典
・文部科学省「日本食品標準成分表 2020年版(八訂)」
・文部科学省「日本食品標準成分表 増補2023年版」
・日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」
・糖尿病ネットワーク
https://dm-net.co.jp/
・厚生労働省 e-ヘルスネット
https://kennet.mhlw.go.jp/

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