A. はちみつは砂糖より血糖値がゆるやかになる場合もありますが、血糖値を上げにくい食品というわけではありません。今回は、はちみつと砂糖の糖質の違いや血糖値への影響をもとに、上手な取り入れ方を詳しく解説します。
はじめに
栄養相談をしていると、「砂糖よりはちみつのほうが血糖値にいいですよね?」と患者さんからよく質問をいただきます。
確かにはちみつは自然由来の甘味料で、体にやさしいイメージがありますよね。
しかし、血糖値という視点で見たとき、量や食べ方によっては砂糖と同じように血糖値に影響するため、はちみつが必ずしも“安心な甘味料”とは言い切れないのが実際のところです。
今回は、砂糖とはちみつを栄養成分表示で比較しながら、血糖値への影響についてわかりやすく解説していきます。
はちみつと砂糖(グラニュー糖)の栄養成分比較
以下は、日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年に基づいた、はちみつと砂糖(グラニュー糖)の可食部100 gあたりの栄養成分の比較表です。
| 成分(可食部100 g) | はちみつ | 砂糖(グラニュー糖) |
|---|---|---|
| エネルギー | 329 kcal | 394 kcal |
| たんぱく質 | 0.3 g | 0 g |
| 脂質 | 0 g | 0 g |
| 炭水化物 | 81.9 g | 99.9g(ほぼ全量) |
| └ 糖質(主要) | 約81.7 g | 99.9g(ほぼ全量) |
| 水分 | 17.6 g | Tr(ごくわずか) |
| 食物繊維 | 0 g | 0 g |
| ミネラル等 | カリウム 65 mgなど(微量) | ごく微量(表記なし) |
〈栄養成分から見るポイント〉
✔️カロリー:砂糖の方が100 gあたり高め(約394 kcal)で、はちみつはやや低めです。
✔️炭水化物(糖質):どちらも炭水化物(ほぼ糖質)が主体ですが、砂糖はほぼ100 %糖質に対し、はちみつは水分があるため実質的な糖質量はやや低くなっています。
✔️たんぱく質・脂質:どちらもほぼ0 gで、エネルギー源はほぼ糖質です。
✔️微量栄養素:はちみつにはカリウムなどの微量ミネラルやビタミン類がわずかに含まれますが、栄養補給を目的に摂るほどの量ではありません。
ティースプーン1杯(約10g)あたりの比較表
| 食品 | カロリー | 糖質量 |
|---|---|---|
| はちみつ | 約33 kcal | 約8.2 g |
| 砂糖(グラニュー糖) | 約39 kcal | 約10.0 g |
ティースプーン1杯あたりで比べると、はちみつは砂糖よりカロリーや糖質がやや少ないことが分かります。
ただし、その差はわずかで血糖値への影響が大きく変わるほどではありません。
「ちょっとだけ」のつもりが増えやすい理由

はちみつは少量でも甘みを感じやすいため、「ちょっとだけ使っているつもり」になりやすい食品です。
たとえば紅茶を1日3回飲み、毎回ティースプーン1杯のはちみつを入れていると、それだけで1日に3杯分のはちみつを摂っていることになります。
また、はちみつを「砂糖とは別枠のもの」と捉えてしまい、普段の砂糖に加えて使っている方もたまにいらっしゃいます。
はちみつは砂糖の代わりとして使うのは問題ありませんが、砂糖にプラスして使ってよいものではないという点は、ぜひ意識しておきたいポイントです。
はちみつの1日の目安量
血糖値への影響を左右するのは、どれくらいの量を、どのように使うかです。
はちみつの目安量は、1回ティースプーン1杯(約10g)までを意識するとよいでしょう。
はちみつはティースプーン1杯ほどで糖質は約8g前後あります。
「1回は少ないから大丈夫」と思って1日に2〜3回使うと、それだけで糖質は16〜24gになることも。
そのため、基本は1日トータルでティースプーン1杯程度を目安に考えると、血糖値への影響を抑えやすくなります。
血糖値を上げにくい「はちみつの組み合わせ」

はちみつは自然由来の甘味料ですが、主成分は糖質です。
そのため、そのまま単独で摂ると血糖値が上がりやすいという特徴があります。
使い方のポイントは、「何かと一緒に使うこと」。
たんぱく質・脂質・食物繊維を含む食品と組み合わせることで、糖の吸収がゆるやかになり、血糖値の急上昇を抑えやすくなります。
・ナッツ類(アーモンド・くるみ)
ナッツ類は脂質・食物繊維が豊富なので、甘いおやつ感が出るのに血糖値は比較的安定しやすくなります。はちみつはからめる程度で十分おいしいです。
・チーズ(クリームチーズやカッテージチーズ)
チーズはたんぱく質と脂質が含まれ、低糖質な食品です。
はちみつを少し垂らすだけで満足感が高く、量を使わなくて済むのが最大のメリットです。
・全粒粉パン・ライ麦パン
白いパンよりも食物繊維が多く、血糖値上昇がゆるやかになりやすいです。
そこに「チーズ+はちみつ」や「ナッツペースト+はちみつ」という組み合わせは、単なる“甘いパン”とは別物になります。
・アボカド
アボカドは脂質(主に一価不飽和脂肪酸)が豊富で食物繊維が多いため、はちみつと組み合わせても血糖値が上がりにくく、相性のよい組み合わせといえます。
はちみつの甘味とアボカドのコクが加わることで満足感も高く、ハマってしまう味わいです。
このように「使わない」よりも、「使い方を工夫する」のが、はちみつと上手に付き合うコツです。
まとめ
はちみつは天然由来の甘味料で、カロリーや糖質が砂糖に比べてやや低いという特徴があります。
しかし、血糖値という視点で見ると主成分はどちらも糖質であり、大きな差があるわけではありません。
はちみつを使うときに大切なのは、
- 量を意識すること(1日トータルでティースプーン1杯程度を目安に)
- 単独で使わず、たんぱく質・脂質・食物繊維を含む食品と組み合わせること
甘いものを完全にやめるのではなく、「工夫して楽しむ」と日々の食事は少し心地よくなりますね。 この記事が、はちみつとの新しい付き合い方を見つけるきっかけになれば嬉しいです(^^)/
■参考文献・出典
・文部科学省「日本食品標準成分表 2020年版(八訂)」
・文部科学省「日本食品標準成分表 増補2023年版」
・日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」
・糖尿病ネットワーク
(https://dm-net.co.jp/)
・厚生労働省 e-ヘルスネット
(https://kennet.mhlw.go.jp/)


コメント